こんにちは、CFDで資金200万円を運用しているシータ(@trade_theta)です。
1度や2度であれば運次第でトレードで勝つこともできますが、継続的に長期間、何千回、何万回ものトレードを繰り返してなお勝ち続けるためには、期待値がプラスのトレードをする必要があります。
「いくらやってみても本当にトレードで勝てないんだけど」
「トレードは期待値が大事って聞いたけど、期待値ってどういうことなの?」
こんな方向けにトレードにおける期待値の考え方について解説します。
- 期待値の考え方がわかる
- 期待値の計算方法がわかる
- 自分のトレードの期待値の求め方がわかる
なお「破産確率」や「期待値」などトレードで勝つために必須の事前知識は、以下の記事で解説しているのでこれからCFDを始める方はぜひ一度ごらんください。
また、「初心者向けのおすすめ証券会社」、「観点別の証券会社比較」、「取扱商品ごとの証券会社比較」、「その他の金融商品との比較」などCFDに関する網羅的な情報は「CFD口座の比較!初心者向けのおすすめ国内業者・証券会社を紹介」にまとめているので、これからCFDを始める方はぜひ一度目を通してみてください。
目次
トレードにおける期待値とは?計算方法を解説
「期待値」は確率や統計で使われる言葉ですが、ギャンブルや株、トレードでも重要になる考え方です。
トレードでいう「期待値」とは「1回のトレードで期待できる損益」のことです。
コインゲームで考える:期待値は合計損益をトレード数で割ったもの
例えば、次のようなコインゲームをやったときの収支で考えてみます。
- コインを投げる
- 表が出たら100円もらえる
- 裏が出たら50円払う
- コインは表・裏それぞれ50%の確率で出る
- 10回投げたときの損益をみてみる
上記のルールで、10回のコインを投げてみたところ、こんな結果になりました。
- 1回目:表→+100円
- 2回目:裏→-50円
- 3回目:裏→-50円
- 4回目:表→+100円
- 5回目:表→+100円
- 6回目:表→+100円
- 7回目:裏→-50円
- 8回目:表→+100円
- 9回目:裏→-50円
- 10回目:裏→-50円
合計
- 表:5回→+500円
- 裏:5回→-250円
- 収支:+250円
上記の場合、10回のゲームを行い、表が5回、裏が5回でて、収支は+250円でした。
期待値は「1回あたりで期待できる損益」になるので、期待値は次のように25円になります。
期待値 = +250 ÷ 10 = 25円
期待値は勝率と平均利益・平均損失からも計算できる
期待値は次の計算式でも求めることができます。
期待値 = 勝率 x 平均利益 – 敗率 x 平均損失
さきほどのコインゲームの例で考えてみると、計算式に必要な値は次のようになります。
- 勝率:50%(表裏それぞれ50%ずつだから)
- 敗率:50%(表裏それぞれ50%ずつだから)
- 平均利益:100円(表が出たときにもらえる金額)
- 平均損失:-50円(裏が出たときに払う金額)
上記の数字を期待値の計算式にあてはめると、さきほどと同じく25円が求まります。
期待値
- = 50% x 100円 – 50% x 50円
- = 50円 – 25円
- = 25円
期待値はリスクに対するリターンとしての使い方もできる
さきほどの期待値はゲーム1回あたりで期待できる「収支金額」でしたが、1回あたりで期待できる「リターン(利回り)」として使うこともできます。
期待リターンを計算するときは、次の計算式を使います。
期待値(リターン)
- = 勝率 x (平均利益 ÷ 平均損失) – 敗率 x (平均損失 ÷ 平均損失)
- = 勝率 x リスクリワードレシオ – (1-勝率)
さきほどの計算式との違いは、全体を「平均損失」で割っていることです。
「平均損失」は「リスクにさらしている金額」ともとれるので、リスクに対してどれだけのリターンが出せるか、という意味で利用することができます。
さきほどのコインゲームの例で再び考えてみると
- 期待値(リターン) = 勝率 x (平均利益 ÷ 平均損失) – 敗率 x (平均損失 ÷ 平均損失)
- =50% x (100円 ÷ 50円) – 50% x (50円 ÷ 50円)
- =50% x 2 – 50%
- =50%
上記のとおり、リスクに対するリターンは50%になります。
これは架空のコインゲームなので50%という高い期待値ですが、実際のトレードで期待値50%でトレードができていたら、とんでもないお金持ちになれます。
確率は必ず期待値どおりになるわけではないけど、長期的に見れば期待値に近い値に収束していく
コインゲームでは、表が出る確率は50%でしたが、現実では「表」「裏」「表」「裏」と綺麗に交互に出てくることはありえません。
コインを投げるたびに、過去の結果とは独立して50%の確率で「表」が選ばれるため、「表」が8回連続で出るなんていうことも起こりえます。
長い目で見れば、期待値を覆すことは不可能です。つまり、トレードで買っている人は「勝つべくして勝っている」ということが言えます。
- トレードで負け続けている人:期待値がマイナスのトレードをしている
- トレードで勝ち続けている人:期待値がプラスのトレードをしている
トレードはギャンブルじゃないの?期待値がプラスのトレード、果たしてそんなものが存在するのか
人は自分の理解が及ばないものは「ギャンブル」とレッテルを貼り、近づこうとしません。
例えば、パチスロは世間一般ではギャンブルです。ですが、パチスロ台はパチンコ店が収支をコントロールするための「設定」があり、最も払い出しの多い「設定6」を確保できれば、期待値は大幅にプラスとなり、プレイすればするほど利益を増やすことができます。
例えば、ブラックジャックは世間一般ではギャンブルです。ですが、場に配られた絵札の枚数を記憶しておき、山に絵札が多く残っているときに掛け金を大きくすれば、トータルで利益を出すことができます。
大学教授でトレーダーでもあるエドワード・ソープ著の「ディーラーをやっつけろ! ウィザードブックシリーズ (109)」で上記の方法は紹介されています。
期待値がプラスってどんなトレード?勝率が高いトレードが優秀とは限らない
「トレードで勝つ人っていうのは常に勝ってるんだろうな」と思う人もいるかもしれませんが、勝率が高いだけでは期待値が高いとは限りません。
期待値の計算式をもう一度確認しておきます。
期待値 = 勝率 x 平均利益 – 敗率 x 平均損失
上記のうち「敗率」は「1 – 勝率」に等しいので、「勝率」「平均利益」「平均損失」の3つの変数によって、期待値が決まることがわかります。
例えば、勝率が8割の次のようなトレード手法があるとします。
- 勝率:80%
- 平均利益:10円
- 平均損失:80円
10回トレードすると、8回もプラスになるので期待値もプラスになるんじゃないかと思うかもしれませんが、計算すると期待値は-8円、期待リターンは-10%です。
- 期待値 = 80% x 10円 – 20% x 80円 = -8円
- 期待リターン = 80% x 1/8 – 20% = -10%
勝率が高くても、リスクリワードレシオ(平均利益/平均損失)が小さすぎると期待値はマイナスになってしまうんです。(いわゆるコツコツドカン)
逆に勝率が3割程度の次のトレード手法を考えてみます。
- 勝率:30%
- 平均利益:60円
- 平均損失:20円
このトレードは10回トレードすると7回も負けてしまいます。
ですが、勝つときは負けるときの3倍稼げるので、期待値は4円、期待リターンは+20%となります。
- 期待値 = 30% x 60円 – 70% x 20円 = 4円
- 期待値(リターン) = 30% x 60/20 – 70% = +20%
上記のように、期待値は勝率だけでは判断できません。
勝率とリスクリワードレシオ(平均利益/平均損失)のバランスにより、期待値の高さが決まるんですね。
トレードに必要な期待値はどれぐらい?【期待値がマイナスのトレードはすべて破産します】
期待値がマイナスのトレードは、やればやるほどマイナスが積み上がることが確定しているため、いずれ破産してしまいます。
そのため、トレードを続けるためには「期待値がプラスのトレード」をすることは必須です。
また、「期待値がプラスのトレード」であっても、資金管理・ポジションサイズを大きくしすぎると破産確率が上がるので要注意です。
破産確率については「バルサラの破産確率表とは?自分の破産確率を知り、長く生き残れるトレードをしよう」で詳しく解説しているので、ぜひ一度御覧ください。
トレードの期待値はどうすればわかる?【方法は2つある】
- 自分のトレード結果から算出する
- 手法をバックテストする
自分のトレード結果から算出する
自分のトレードの期待値を求めるためには、自分の勝率、平均利益、平均損失を知る必要があります。
これは自分のトレード結果から簡単に求めることができます。もし「トレードは雰囲気でやってるから何も記録をとってないや」という人がいたら今すぐ記録をするようにしましょう。
過去のデータは改善の宝の山です。期待値を計算するだけでなく、どのような負け方が多いか、どのようなときに勝つことが多いかを客観的に知ることができます。頭の中だけで過去の全トレードを把握することは不可能なので、まずは記録をつけて、振り返ることから始めましょう。
バックテストで集計する
「バックテスト」とは、過去のチャートデータから「いつエントリーするか」「いつ手仕舞いするか」をプログラムでシミュレーションさせて集計する方法です。
この方法であれば、自分でトレードをする前に期待値を把握できるので、無駄に「期待値がマイナスのトレード」をしなくて済みます。
バックテストはTradingViewというサービスを使うと、ありとあらゆるチャートデータを利用できるので非常に便利です。
以下はS&P500先物の1995年から2015年までのチャートデータを使ってバックテストをしたものです。
チャート上に「買い」「売り」のタイミングを表示できます。
また、シミュレーション結果として、次のような集計値を知ることができます。
勝率や平均利益、平均損失だけでなく、最大の勝ち、最大の負け、勝ちトレードの保有日数なども集計できるのでとても便利です。
上のシミュレーションは20年間のデータで勝率が82%、リスクリワードレシオが0.626なので、期待リターンは33%のトレード手法です。
期待リターン
- = 勝率 x リスクリワードレシオ – (1-勝率)
- = 82% x 0.626 – 18%
- = +33%
トレードの期待値を高めるには、勝率かリスクリワードレシオをあげる必要がある
- 勝率をあげる
- リスクリワードレシオをあげる
トレードの勝率をあげる
勝率は次の方法であげることができます。
- 損切り幅を広くしてノイズにかからないようにする
- トレンドフィルターを使う
- トレイリングストップ(プロアクティブストップ)を使う
損切り注文を置くことは大切なことですが、あまりにも近すぎるところにおいてしまうと、一時的なノイズによる変動に引っかかり決済されることが多くなってしまいます。なので、適切な広さに損切りを置いておくのが良いです。
また、移動平均線などトレンドを判別するトレンドフィルターを使うと、トレンドフォロー戦略でダマシを減らし、勝率を上げることができます。
トレイリングストップとは、損切りの逆指値を価格の上昇に合わせて上に引き上げることです。トレイリングストップを使うと、利益の一部を確保しやすくなるので、勝率があがります。
トレードのリスクリワードレシオをあげる
リスクリワードレシオは勝利時の平均利益を敗北時の平均損失で割ったものです。
リスクリワードレシオ = 平均利益 ÷ 平均損失
そのため、平均利益を増やすか、平均損失を減らせばリスクリワードレシオを上げることができます。
つまり、負けトレードを無駄に長く保有せずに損切りはなるべき早めに行い、利益ののったトレードを早く手仕舞いしすぎないようにすることです。
人は利益がなくなるのが不安になり、利益確定を急ぎがちです。また、損失を認めたくないあまり、損切りできず塩漬けにしてしまいがちです。
これらは両方ともリスクリワードレシオを下げる行為につながるので、今すぐやめましょう。
まとめ:トレードで勝てない原因は期待値がマイナスのトレードをしているから。勝つために期待値がプラスのトレードをしよう
期待値は、トレードで勝ち続けるために必須の考え方です。
いまトレードに勝てていないのは、期待値がプラスのトレードができていないからです。
自分のトレードルールを記録し、振り返り、改善を続けることで少しずつ勝率やリスクリワードレシオを上げることができるので、着実に期待値をプラスに近づけていきましょう。
また、プログラムができる方であればバックテストで過去のデータから検証するのがおすすめです。だいぶ精度高く分析ができるはずです。
なお、初心者の方がCFDを最初に証券会社はGMOクリック証券がおすすめです。
低コストなため無駄なコストを排除でき、銘柄数も必要十分なので、初心者の方に最適です。
僕はCFDで中長期のトレンドフォロー戦略を実践中で、GMOクリック証券をメイン口座として利用しています。
CFDを始めようとしていてまだ口座をお持ちでない方は、この機会に口座解説しておきましょう。
他のCFD会社との比較はこちら記事をご覧ください。