こんにちは、昨年は37万円分のふるさと納税をしたシータ(@tsumitate_theta)です。
ふるさと納税をするときに、寄付しすぎにならないように限度額を把握することは大切なことです。
ですが、人生の転機を迎えると所得控除の条件が変わるため、早見表では限度額がわからなくなってしまいます。
- 年収が大幅に変わった
- 結婚をして専業主婦・夫になった
- 子供が高校生になった
- iDeCo(確定拠出年金)に加入した
- 家族が病気になり手術をした(医療費控除)
- 独立して小規模企業共済に加入した
- 生命保険に加入した
- 住宅ローンを始めた
こんなとき「いくらまでふるさと納税できるかな?」と悩んでしまうことは多いと思います。
僕も2,3年前、限度額がわからなくなったことがあり、調べに調べまくった経験があります。
今では何があろうが自由自在に限度額が分かります。
この記事では、そんな「人生の転機を迎えた人でも自分の正しいふるさと納税限度額を自力で計算する」ための方法をご紹介します。
もし、年収や家族構成に大きな変動がない場合は、さとふるで自動計算するのが最も簡単です。
CHECK! さとふる:控除シミュレーション
なお、その他ふるさと納税の仕組み・おすすめ返礼品などの網羅的な情報は「やらなきゃ大損!初心者でも簡単にできるふるさと納税まとめ」でまとめているので初心者の方はぜひご覧ください。
CHECK! やらなきゃ大損!初心者でも簡単にできるふるさと納税まとめ
目次
ふるさと納税限度額のシミュレーション
「御託はいいから早く限度額を教えてくれよ!」というせっかちな方は、難しい計算方法を知らずともサクっと限度額を計算できるシミュレータを作成したのでぜひご利用ください。
ふるさと納税限度額の計算式
ふるさと納税の限度額は、以下の計算式で求められます。
限度額 = (住民税 x 20%) / (90% – 所得税率x復興税率1.021) + 2000円
参考:総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について
この中で調べなければならないのは、以下の2つです。
- 住民税
- 所得税率
住民税(所得割額)を計算する
住民税(所得割額)は、計算がとても複雑です。真面目に計算しようとすると心が折れてしまいます。
自力で計算することを優先するため、概算値として「所得税の課税所得」を用いて、住民税を求めることにします。
計算式はこちらです。
住民税(所得割額)≒ 所得税の課税所得 x 10%
所得税の課税所得は、「年収別(200万〜1500万)の所得税早見表と計算方法を紹介!」で、順にみていけば誰でもわかるように早見表と計算方法を紹介しているので、こちらから計算をしてみてください。
所得税率を調べる
所得税率は、課税所得の金額に応じて決まります。
課税所得と税率の関係は、以下の表のとおりです。
課税所得最小 | 課税所得最大 | 所得税率 | 固定控除額 |
---|---|---|---|
¥0 | ¥1,950,000 | 5% | ¥0 |
¥1,950,001 | ¥3,300,000 | 10% | ¥97,500 |
¥3,300,001 | ¥6,950,000 | 20% | ¥427,500 |
¥6,950,001 | ¥9,000,000 | 23% | ¥636,000 |
¥9,000,001 | ¥18,000,000 | 33% | ¥1,536,000 |
¥18,000,001 | ¥40,000,000 | 40% | ¥2,796,000 |
¥40,000,001 | - | 45% | ¥4,796,000 |
先ほど求めた「課税所得」の金額から、税率を調べましょう。
- 課税所得が200万円の人:所得税率10%
- 課税所得が400万円の人:所得税率20%
- 課税所得が600万円の人:所得税率20%
- 課税所得が800万円の人:所得税率23%
具体的な計算例
「住民税」と「所得税率」の2つが分かれば、ふるさと納税の限度額は自分で計算ができます。
年収300万円、30代独身の限度額は?
- 30代独身
- 年収:300万円
月収:21.4万円
賞与:21.4万円x2回 - 所得控除:
基礎控除 38万円
社会保険料控除:434,280円
詳細は「【早見表付き】標準報酬月額から社会保険料を計算する方法」を参照
住民税を求める
このケースの場合、課税所得は「年収別(200万〜1500万)の所得税早見表と計算方法を紹介!」の早見表から1,105,720円とわかります。
所得控除 = 基礎控除38万円+月額社会保険料31,020円x14ヶ月=814,280円
課税所得 = 年収300万円 – 給与所得控除1,080,000円 – 所得控除814,280円 = 1,105,720円
課税所得を住民税の計算式に当てはめます。
住民税(所得割額)≒ 所得税の課税所得1,105,720円 x 10% = 110,572円
所得税率を求める
所得税率は、税率表と照らし合わせて確認します。
課税所得が1,105,720円だったので、所得税率は5%ですね。
ふるさと納税限度額を計算する
ふるさと納税限度額の計算式に、数字を当てはめます。
限度額 = (住民税 x 20%) / (90% – 所得税率x復興税率1.021) + 2000円
限度額 = (住民税110,572円 x 20%) / (90% – 所得税率5%x復興税率1.021) + 2000円
限度額 = 28049円 ≒ 28000円
となります。
年収300万円、30代夫婦共働き、子供なしの限度額は?
- 30代夫婦
- 嫁:共働き
- 年収:300万円
月収:21.4万円
賞与:21.4万円x2回 - 所得控除:
基礎控除 38万円
社会保険料控除:434,280円
詳細は「【早見表付き】標準報酬月額から社会保険料を計算する方法」を参照
夫婦で共働き(嫁の年収が201万円を超える)の場合、配偶者控除はもらえません。
所得控除は独身のときと同じ金額になります。
限度額も同じ計算になるので、28000円が限度額となります。
限度額 = (住民税110,572円 x 20%) / (90% – 所得税率5%x復興税率1.021) + 2000円
限度額 = 28049円 ≒ 28000円
年収300万円、30代夫婦共働き、14歳子供1人の限度額は?
- 30代夫婦
- 嫁:共働き
- 子供:14歳1人
- 年収:300万円
月収:21.4万円
賞与:21.4万円x2回 - 所得控除:
基礎控除 38万円
社会保険料控除:434,280円
詳細は「【早見表付き】標準報酬月額から社会保険料を計算する方法」を参照
子供が14歳の場合、扶養控除はもらえません。(扶養控除は、16歳以上で給与収入が103万円以下の人を養うときにもらえます。)
所得控除は独身のときと同じ金額になります。
限度額は先ほどと同様に、28000円です。
限度額 = (住民税110,572円 x 20%) / (90% – 所得税率5%x復興税率1.021) + 2000円
限度額 = 28049円 ≒ 28000円
年収300万円、30代夫婦、嫁が専業主婦の限度額は?
- 30代夫婦
- 嫁:専業主婦
- 子供:なし
- 年収:300万円
月収:21.4万円
賞与:21.4万円x2回 - 所得控除:
基礎控除:38万円
配偶者控除:38万円
社会保険料控除:434,280円
詳細は「【早見表付き】標準報酬月額から社会保険料を計算する方法」を参照
嫁が専業主婦(年収が103万円以下)の場合、配偶者控除で38万円の所得控除がもらえます。
独身のときの所得控除は、814,280円でした。
所得控除 = 基礎控除38万円+月額社会保険料31,020円x14ヶ月=814,280円
814,280円に38万円を足した1,194,280円が、専業主婦のときの所得控除です。
所得控除 = 814,280円 + 380,000円 = 1,194,280円
所得控除が増えたことで、課税所得は725,720円まで下がります。
課税所得 = 年収300万円 – 給与所得控除1,080,000円 – 所得控除1,194,280円 = 725,720円
住民税は72,572円です。
住民税(所得割額)≒ 所得税の課税所得725,720円 x 10% = 72,572円
課税所得725,720円のときの所得税率は、税率表と照らし合わせると、5%です。
「住民税」「所得税率」を計算式にあてはめると、限度額は19,000円になります。
限度額 = (住民税72,572円 x 20%) / (90% – 所得税率5%x復興税率1.021) + 2000円
限度額 = 19,096円 ≒ 19,000円
年収300万円、確定拠出年金(iDeCo)で積立をしているときの限度額は?
- 30代夫婦
- 嫁:共働き
- 子供:なし
- 確定拠出年金:毎月23000円拠出
- 年収:300万円
月収:21.4万円
賞与:21.4万円x2回 - 所得控除:
基礎控除:38万円
小規模企業共済等掛金控除:276,000円
社会保険料控除:434,280円
詳細は「【早見表付き】標準報酬月額から社会保険料を計算する方法」を参照
確定拠出年金で積み立てると、全額分を「小規模企業共済等掛金控除」という枠で所得控除をもらえます。
毎月23000円を積み立てると、1年間で276,000円の所得控除になります。
もう計算方法は予想が着いて来た方もいるかも知れません。
追加となった、276,000円を所得控除に加算して、課税所得を求めると829,720円になります。
所得控除 = 814,280円 + 276,000円 = 1,090,280円
課税所得 = 年収300万円 – 給与所得控除1,080,000円 – 所得控除1,090,280円
課税所得 = 829,720円
住民税は82,972円です。
住民税(所得割額)≒ 所得税の課税所得829,720円 x 10% = 82,972円
課税所得829,720円のときの所得税率は、税率表と照らし合わせると、5%です。
「住民税」「所得税率」を計算式にあてはめると、限度額は21000円になります。
限度額 = (住民税82,972円 x 20%) / (90% – 所得税率5%x復興税率1.021) + 2000円
限度額 = 21546円 ≒ 21000円
年収300万円、医療費控除をするときの限度額は?
- 30代夫婦
- 嫁:共働き
- 子供:なし
- 年間医療費:150,000円
- 年収:300万円
月収:21.4万円
賞与:21.4万円x2回 - 所得控除:
基礎控除:38万円
医療費控除:50,000円
社会保険料控除:434,280円
詳細は「【早見表付き】標準報酬月額から社会保険料を計算する方法」を参照
年間の医療費が10万円を超えると、超えた金額が医療費控除の対象となります。
年間15万円の医療費が発生する場合、医療費控除は5万円です。
ふるさと納税の限度額を計算する時のポイント
ここまでの計算から分かるように限度額を計算するポイントはこちらです。
- まず課税所得を把握する
- 自分が当てはまる所得控除の分だけ、課税所得を減額する
- 数式に当てはめて限度額を出す
1度課税所得を把握できると、あとは所得控除の金額をそこから差し引いて計算をするだけなので、自力でいくらでも把握できるようになります。
まとめ
ふるさと納税の限度額を自力で計算する方法をまとめました。
税金まわりは複雑すぎるのがつらいところではありますが、一度乗り越えられると無駄なくお得にふるさと納税がやり切れるので、今回ご紹介した内容で自分の限度額を計算してみると、おもしろいかもしれません。
限度額が把握できたら、早速ふるさと納税を限界ギリギリまで楽しみましょう!