こんにちは、インデックス投資で1000万円を運用しているシータ(@tsumitate_theta)です。
どうなってるんだぽっぽ!
でも、ちょっと勘違いしてるかもしれないから正しい情報を紹介するね!
金融庁が発表した市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」に巷では批判が相次いでいます。
「年金を株に突っ込んで15兆も損失出すなんて許せない!年金返してよ!」
「どうせ年金はもらえないなら、もう払わないよ!」
「年金デモだ!金返せ!」
こんな過激な声がたくさんネットで見受けられます。
何のために年金払って来たと思ってるんだぽっぽ!ふざけるなぽっぽよ!
年金はサブレくんが思っているほど悪い制度じゃないよ!
僕も「年金はどうせもらえない」「そんなものにお金を払うのは嫌だな」と、つい最近まで思っていたのですが、年金のことを学習するにつれて、考えを大幅に改めました。
そこで今回は、サブレくんのように年金に怒り心頭な方向けに「僕も最近まで知らなかった年金にまつわる勘違いあるある」と「老後資金を貯める具体的な方法」をご紹介します。
- 年金にまつわる勘違いが分かる
- 年金なしで自力で生きる場合の大変さが分かる
- 老後資金の不足分を解消する方法が分かる
目次
年金破綻?金融庁が提言した「老後資金に2000万必要」の意味
とはいえ、いったん落ち着いて金融庁の言う「2000万円必要」の意味を把握しよう
金融庁が「年金給付はこれから下がる、2000万円貯めておけ」の報告書!“年金は安心”の嘘を自ら暴露する安倍政権 (2019年5月30日) – エキサイトニュース
上記の記事でも話題になっているように金融庁は「年金だけでは老後資金が2000万円不足する」というメッセージを出しました。
ここでいう「老後資金2000万」は次の数字から求められたものです。
参考:市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
参考:金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)議事次第
統計データによれば、生活費に26.4万円が必要だけど、年金中心の収入は20.9万円しかない。差額の5.5万円は貯蓄などで対応が必要。
長寿化により、65歳から95歳まで生きるとすれば
5.5万円 x 12ヶ月 x 30年 = 約2000万円
となり、年金以外で2000万円が必要になる!という感じです。
この金額は、次の家族構成を前提としてます。
- 定年まで厚生年金に加入した夫
- 妻は夫の扶養
なので、定年まで共働きを通した家庭は年金だけで不足分は補えるかもしれないし、夫婦で国民年金の場合は月13万円しか年金はもらえないので、2000万以上の金額を自力で用意しなければなりません。
僕も最近まで知らなかった年金のよくある勘違い
正直僕もつい先日までは「年金は国がやらかした壮大なマルチ商法で、僕ら現役世代は損をする可能性が高い」「どうせもらえないならいっそ税金と割り切って自力で生活できるように準備しよう」なんて考えていました。
でも、年金について勉強を進めるにつれて考えを大幅にあらためました。
なので、ここでは僕もずっと勘違いしていた年金あるあるをご紹介します。
なんだか突然年金だけで老後の生活は無理と言い始めたと思っている【はじめから無理です】
もしかすると「老後は年金だけで生活できると思っていたのに、突然老後資金2000万円が追加で必要になった」と感じている人がいるかもしれません。
ですがこれは勘違いで、実はずっと前から「老後は年金だけで生きていくことは難しい」と言われ続けています。今回の「老後資金2000万円」はその金額を具体的に示しただけです。
所得代替率とは
現役世代の平均手取り収入額(ボーナス込み)に対する厚生年金の標準的な年金額の比率のこと。
次の画像は、2004年時点での所得代替率の見通しです。
2004年の頃の所得代替率は59.3%です。現役世代の59%しか年金収入がないので、当時から既に年金だけで生活をすることは難しかったはずです。
下図は2005年の高齢夫婦無職世帯の収支ですが、既に3.5万円分、年金では足りず預貯金の取り崩しをしています。
参考:平成17年家計調査
2005年当時から、年金だけでは生活できていません。
文句じゃなくて「それならどうするか」にエネルギーを使う方が健全だよ!
積立金運用で莫大な損失を出したから年金がもらえないと思っている【運用益は55兆円ある】
先日も以下のような心ない記事が出されていました。
参考:年金100年安心神話が崩れた背景…リスク運用で損失15兆円 | 女性自身
こんな記事を見たら「うわ、年金で15兆円損失ってやばすぎでしょ」「それで年金払えないってありえなくない?」と思ってしまうのも無理はないですよね。
年金運用は2018年12月(第三四半期)時点で、56兆円の黒字
でも、実際には年金は2018年12月(第三四半期)時点で、56兆円の黒字です。
確かに2018年第三四半期(10月〜12月)だけを見ると、約15兆円の損失を出しています。
女性自身の記事は、年金がトータルで56兆円の黒字であることは伝えず、第三四半期の成績だけを切り取って大損こいてるとアピールしたものです。
一時的にマイナスになっても、10年、20年と長期間運用を継続すれば運用益が増えていくことは世界的に見て自明の事実です。
実際に年金運用も2001年から18年経過して56兆円の利益が出てるので、全く問題はないでしょう。
年金が将来もらえなくなると思っている【額は減るが確実にもらえます】
日本の年金は「賦課方式」といって、現役世代が老後世代に仕送りをする形で成り立っています。
日本の #公的年金 制度は、その時の現役世代の保険料負担でその時の高齢者を支える「世代間扶養」を基本としています。年金給付の財源を約100年間の平均で見た場合、約9割はその年の保険料収入と国庫負担でまかなわれ、GPIFが運用する年金積立金の役割は約1割です。 https://t.co/Wgh0boaUiL … pic.twitter.com/DxXMyQVSN8
— GPIF (@gpiftweets) 2019年6月6日
年金の財源は、現役世代からの「保険料」だけでなく、「国の税金」「積立金」からも支払われています。
- 現役世代からの保険料
- 国の税金
- 運用積立金
3つの財源の内訳はこちらです。
参考:年金財政における積立金の役割|年金積立金管理運用独立行政法人
少子高齢化が進むと現役世代が減るので、保険料収入が減るの間違いないですが、現役世代が0人になるなんてことはありえません。なので保険料からの額は減りますが、確実に年金はもらえます。
また、厚生年金の2割(国民年金の場合は5割)は国の税金から払われています。年金不足を補うために消費税増税なども駆使して財源が確保されるので、税金を財源とした年金もなくなる可能性は低いです。
積立金運用についてもプラス運用ができているので問題ないです。保険料の減少の一部を積立金がうまく補ってくれるはずです。
若い世代は年金は払い損でマイナスになると思っている【早死にしない限りプラスです】
平成26年の財政検証で、年金で払った金額ともらえる金額がどのような配分になるかの検証が行われています。
公開されている検証結果はこちらです。
赤枠で囲った数字が、もらえる年金を払った保険料で割った倍率です。1以上であれば黒字ということになります。
会社員の人は「厚生年金」の方を、自営業の方は「国民年金」の方の赤枠を見てください。
でも、どの世代も自分が払った金額以上の年金をもらうことができてるよ!
実は厚生年金は「保険料の半分」を勤めている会社が払ってくれていますが、上の表では自己負担分だけで負担額を計算しています。
「会社が肩代わりしてくれたおかげで自己負担額の倍額をもらえる」と思うと、会社員は美味しいですね。
これは世代ごとの平均寿命(男は82歳〜86歳、女は87歳92歳)まで生きた場合の給付倍率ですが、厚生年金なら65歳からもらい始めても75歳程度でほぼ元を取れる計算です。
2014年財政検証では最悪のケースで、所得代替率が39%に下がる計算でした。その場合でも20年もらえば十分元は取れるので、健康第一で長生きをしていきましょう!
年金やめて自分で老後資金を作る方がいいの?【100%年金の方がいいです】
将来の年金はいらないから、いままで払った保険料返して欲しいぽっぽ!
結論から言えば、年金は投資対象としてみても優秀なので、年金に投資した方がお得です。
年金返してもらうと【老後の6900万円】を失うことを意味する
もう一度、老後の生活費をおさらいします。
老後の収入20.9万円のうち、19.1万円は年金によるものです。
「老後資金2000万円」と同じロジックで、毎月19.1万円を65歳から95歳までの30年間必要として考えると、6900万円が必要になります。
19.1万円 x 12ヶ月 x 30年 = 約6900万
2000万円でも無理なのに、そんなに貯金できる気がしないぽっぽ
年金がなくなると、自腹で両親の生活費を負担する必要がある
言われてみれば、生活費を出してあげなきゃいけなくなるぽっぽね
昔は大家族で同じ家に同居する世帯が多かったですが、最近は別々に暮らす世帯が多くなってますよね。
別の場所で暮らしているなら、両親へ生活費を仕送りしなければならないでしょう。
サブレくんはそうなっても本当にだいじょうぶなの?
年金は「両親への仕送り」と同時に「自分の老後資金づくり」を兼ねているから、自力でやるよりもめちゃくちゃお得です。
お得の理由は「税金の投入」や「会社が半分負担」してくれたり、自己負担以外のお金が使われているからです。
年金ほど優遇された投資商品は存在しない
あらためて年金のメリットをあげてみます。
- だいたい10年で元が取れる
(今後受給額がさらに減るとしても20年あれば元を取れる可能性高い) - 死ぬまでもらえる不労所得が確保できる
- リターンの一部を税金投入して払ってくれる
- 積立期間は両親への仕送りの役割を果たせる
- 自分が死んだ後は家族に不労所得を引き継げる
これと同じ仕組みを自力で用意しようと思ったら、まず不可能ではないでしょうか。
「10年で元が取れる」というだけなら不動産投資で言えば「利回り10%」のマンション・アパートになりますが、普通に空室になったり、築年が古くなると家賃は下落したりするものなので、死ぬまで安定継続はできません。
また「リターンの一部を税金で払ってくれる」のは民間の商品ではありえないことです。
年金はもらえる金額は今後減っていきますが「死ぬまで続く不労所得をゲットできる」ことの価値は非常に大きいと思います。
国が用意してくれた年金をありがたく使わせてもらうのがお得だと思うよ!
老後資金2000万を自力で作る方法【つみたてNISAとiDeCoを使おう】
もうおしまいだぽっぽよ
確かに「老後資金2000万円」とだけ聞くと「今の生活だけでも精一杯なのに、追加で2000万円用意するなんて絶対無理だよ」と絶望する人も少なくないかもしれません。
ただし、金融庁が勧めているように自分の労働力に加えて「資産運用」の力を借りれば、もっと簡単に資産づくりはできます。
既に1000万円を資産運用している僕が、具体的なやり方をご紹介します。
そもそも資産運用ができれば老後資金に2000万もいらない
金融庁のレポートで必要と言われた「老後資金2000万円」は毎月5.5万円を30年間「預貯金」から取り崩す場合の金額です。
投資信託で年利5%で運用しながら毎月5.5万円を取り崩すのなら、1000万円で約28年持ちます。
もうちょっと手堅く、年利3%でもみてみます。
年利3%で運用しながら毎月5.5万円を取り崩す場合、1300万円あれば約30年持ちます。
つみたてNISAで20年運用すれば、1370万円の資産形成が期待できる
つみたてNISAの特徴を簡単に紹介します。
- 購入から20年間、運用益に税金がかからない
- 1年間に投資できる上限は40万円
- いつでも好きなときに引き出せる
- 取扱商品は金融庁のお墨付きのみ(優良な投資信託)
- 20歳以上が対象(上限なし)
- 毎月100円から始められる
いつでも引き出せて、少額からスタートできるので、投資初心者の人にもおすすめです。
例えば、つみたてNISAで毎月33,333円を20年間、年利5%で運用すると1370万円たまります。(計算は期待値なので必ずこうなることを保証するものではありません)
- つみたてNISAの非課税効果:円
= 運用益円 x 税率20.315% - 元本+運用益:円
元本:円
運用益:円
年利5%は「全世界株式」の商品であれば、過去の実績からみても十分期待できる利回りです。
「全世界株式」の初心者向けおすすめ商品は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」です。業界最安水準の手数料で、全世界の株式へいい塩梅で投資ができるのでイチオシです。
初心者向けのおすすめ商品は「【初心者向け】つみたてNISAで本当におすすめできる商品ランキングベスト3【これ1本でOK】」で詳しく紹介しているので、ぜひ一度ご覧ください。
ただし、「やった!つみたてNISAやればいいだけなんてちょろいじゃん!」と資産運用を理解せずに勢いだけで始めてしまうと、リスクが高い行動になってしまいます。
つみたてNISAの全般の情報は「つみたてNISAサイトマップ」に網羅的にまとめているので「つみたてNISAがまだ全然わからないよ」という方は、はじめから順に読んでいくと理解が深まると思います。
CHECK! つみたてNISAサイトマップ
生活に余裕がある人、個人事業主の方はiDeCoも活用
つみたてNISAをやった上で、さらに生活に余力がある方はiDeCoも活用しましょう。
特に個人事業主の場合、年金が「国民年金」だけなので「老後資金2000万円」だけでは全然足りません。個人事業主の夫婦では毎月13.4万円の取り崩しが必要なので「老後資金4300万」が求められます。
個人事業主はiDeCoの掛け金が優遇されているので、積極的に利用していってください。
あらためてiDeCoの特徴を簡単に紹介します。
- つみたてNISAよりも税制優遇が優秀
掛け金が全額所得控除になる
運用益に税金がかからない
受け取り時も退職金扱いで税金安い - 1年間に投資できる上限は14.4万円〜81.6万
自営業は上限81.6万円と高い(厚生年金ないから)
会社員は上限低い(厚生年金あるから) - 60歳まで引き出せない
- 取扱商品は金融機関によって異なる
- 20歳以上60歳未満が対象
- 毎月積立額は5000円から
iDeCoはつみたてNISAよりも税制優遇が強烈です。一方で「60歳まで引き出せない」というデメリットがあります。
なので、いまの生活に余力がない方はおすすめしません。まずは目の前の生活に余裕を作り、つみたてNISAから始めてください。
会社員の限度額である毎月2.3万を年利5%で20年運用すると約950万円が期待できる
会社員のiDeCo積立限度額である月2.3万円でどのぐらい資産が増えるのかシミュレーションしてみます。
年利5%、月2.3万円で20年運用すると、約950万円に増えます。
- 元本+運用益:9,493,165円
元本:5,520,000円
運用益:3,973,165円
個人事業主の限度額である毎月6.8万円を年利5%で20年運用すると約2800万円が期待できる
個人事業主の限度額である月6.8万円で、年利5%、20年運用すると、約2850万円に増えます。
- 元本+運用益:28,066,748円
元本:16,320,000円
運用益:11,746,748円
シミュレーションは「【グラフ付き】積立投資の複利計算シミュレーション【長期の大切さが分かる】」でいろいろ試すことができます。
つみたてNISAの1370万とiDeCoの2850万があれば、期待値上は4000万に届きます。
iDeCoは「eMAXIS Slimシリーズ」が買える証券会社で始めるのがおすすめ
「eMAXIS Slimシリーズ」は業界最安水準の手数料を誇る投資信託です。初心者の方はこのシリーズを買っておけばまず間違いはありません。
iDeCoの初心者向け商品としては、次のいずれか1つを選べば無難に資産が築けると思います。
- eMAXIS Slim全世界株式(日本除く)
先進国株式と新興国株式に満遍なく投資できる国内最安商品 - eMAXIS Slim先進国株式
先進国株式に投資できる国内最安商品
また、これらの「eMAXIS Slimシリーズ」が買えるおすすめの証券会社はSBI証券かマネックス証券です。
- SBI証券:総合口座は口座数No1。初心者向けのiDeCoに最適。
- マネックス証券:中級者向けのiDeCoにピッタリ
その他の証券会社との比較は「【2021年4月版】iDeCo(イデコ)の比較!手数料・商品からおすすめ金融機関を紹介!」の記事をご覧ください。
まとめ:つみたてNISAは楽天証券、iDeCoはSBI証券かマネックス証券で始めよう
年金はマスコミから叩かれやすく悪い評判が流れやすいですが、実態としては「年金がもらえなくなることはない」「早死にしなければ払い損になることも少ない」ので、そこまで悪いものではありません。
自力で老後資金を準備する労力を考えると、年金に頼る方が無難です。
それどころか、民間の投資商品と比べてみると、死ぬまで続く不労所得が割安で確保できる点で、とても優れた商品と言えます。
とはいえ、年金でもらえる金額が所得代替率50%に向けて今後下がっていくことは確定しているので、老後資金2000万円以上をこれから自助努力で用意しなければならないことは変わりません。
ですが、つみたてNISAとiDeCoを活用すれば「老後資金2000万相当」の財源を用意することは十分可能です。
これらは複利効果により早く始めるほど雪だるま式にお金を増やすことができるので、まだ始めていない方はこのタイミングで口座開設することをおすすめします。
口座開設はめんどうに感じるかもしれませんが、あとで大きな差がついてから後悔するのはもったいないです。
口座開設するなら、つみたてNISAは楽天証券、iDeCoはSBI証券かマネックス証券が最適です。
- 楽天証券:つみたてNISAならカード払いでポイントもらえる楽天証券が最良
- SBI証券:総合口座は口座数No1。初心者向けのiDeCoに最適。
- マネックス証券 iDeCo:中級者向けのiDeCoにピッタリ
おすすめ金融機関の詳細は、こちらの記事をご覧ください。
今回なぜ騒いでいるのか不思議だったのでもしかしたら年金や金融庁の発表に対する自分の認識が間違っていたのか不安になりましたが、とても分かりやすい内容でやはり自分の認識が合っていたことが分かり安心しました。
ところで真ん中あたりの
「両親への仕送りをしながら、自力で「老後資金2000万円」に加えて「6900万円」を用意する必要があるんだよ
サブレくんはそうなっても本当にだいじょうぶなの?」
の発言がサブレ君になっていますが、シータの発言だと思います。
カーティストさん
分かりやすいと言っていただけると嬉しいです!ありがとうございます。
また、間違いのご指摘、早速修正しました。
教えていただいてありがとうございます!