こんにちは、インデックス投資で1000万円を運用しているシータ(@tsumitate_theta)です。
「おすすめ商品はわかったけど、これ全部買うのがいいんだろうか」
「それともどれか1本だけ買うのがいいんだろうか」
こんな悩みを抱えている方向けに、どんな場合に複数銘柄買う必要があるのか、どんな組み合わせが良いのかを解説します。
- 分散投資をする意味が分かる
- 意味のある分散と意味のない分散の違いが分かる
- 初心者はどうすればいいか分かる
なお、「iDeCo・NISAとの違い」「おすすめの資産配分」「金融機関」「商品」などつみたてNISAの網羅的な攻略情報は「つみたてNISAサイトマップ」にまとめているので、これからつみたてNISAを始めようという方は、ぜひご覧ください。
CHECK! つみたてNISAサイトマップ
また、その他の「抑えておきたい運用のポイント」について知りたい方は「積立NISA(つみたてNISA)の運用方法|抑えておきたいポイントまとめ」をご覧ください
文字を読むのが面倒な方向けに動画でも解説しているので、簡単に内容を理解したい方はぜひ一度ご覧ください。
目次
積立NISAは銘柄をいくつ買うのが正解なのか【商品により異なります】
「リスクを減らすために投資先は複数に分散させるといいよ」と聞いたことがあると思いますが、商品をいくつ買えば良いかは「商品の中身」によって変わるので一概には言えません。
そもそも僕らは何のために複数銘柄を買うのか【分散はリスクを下げる】
相場は市場に参加しているプレイヤーの感情をそのまま価格へ反映するため、みんなが将来に対して楽観的になれば大きく価格を上昇させるし、みんなが悲観的になれば必要以上に価格を下げたりするものです。
もし、特定の企業の株に全財産を投資しているとして、その株価が50%暴落してしまうと、あなたの資産も50%に減ってしまいます。
リーマンショックの時、超優良企業のAppleでさえ株価は50%も暴落しました。
マクドナルドは、業種が異なるため14%の価格下落で済んでいます。
値動きが異なる2つの銘柄に半分ずつ投資をすると、下落幅がマイルドになり、傷が軽減されます。
積立NISAでは異なる資産クラスに投資をするといい
つみたてNISAでは、個別株の取扱はなく、すべて投資信託(またはETF)を買う形になります。
投資信託は、1つの商品の中で複数の個別株に分散投資をしてくれています。
つみたてNISAでは、次のような資産クラス(特性が似た地域や商品ごとの分類)単位で分散投資してくれる商品が多いです。
- 日本株式
- 先進国株式
先進国の中から日本を除いた地域の株式 - 新興国株式
新興国の株式 - 米国株式
- 全世界株式
=先進国株式+新興国株式+日本株式
例えば、資産の半分を全世界株式の商品に、残り半分をまた別の全世界株式の商品に投資をしても、リスクは全く減らないので気をつけてください。
先進国株式と新興国株式を組み合わせたり、そこに日本株式を組み合わせるのであれば意味があります。
「資産クラスってどういうこと?」という方やその他の資産クラスについて知りたい方は、「アセットクラスとは?投資の成否の8割を握る資産配分を理解する」で詳しく解説しているので、こちらをご覧ください。
具体例でみる意味のある複数銘柄の買い方
具体例で意味のある分散と意味のない分散をみていきます。
- 意味のない分散:おすすめランキングの商品をとりあえず買っている
- 意味のある分散:異なる資産クラスの商品を買っている
意味のない銘柄の分散:おすすめランキングの商品をとりあえず買っている
このブログでも「初心者向けの商品」として次の3本をおすすめしてます。
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)
商品選定の詳細については「【初心者向け】つみたてNISAで本当におすすめできる商品ランキングベスト3【これ1本でOK】」で詳しく紹介しているのでぜひご覧ください。
「意味のない分散」の代表例としてあげたいのは、上記のおすすめ商品3本をすべて買って分散投資をした気分になってしまうことです。
上でおすすめしている3本は資産クラスの分類で言うとすべて「全世界株式」に属する商品です。(正確には「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」は全世界株式ではないですが、ここでは同じ分類のものとして考えてしまいます)
具体的に資産クラスが同じ商品の値動きを実際にみてみると、一気に理解が深まると思います。
「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)」の値動きは次のグラフのとおりです。(2018年10月31日〜2019年6月28日)
参考データ:投信総合検索ライブラリー
意味のある銘柄の分散:異なる資産クラスの商品を買っている
さきほどのケースとは逆に、互いに重複しない資産クラスの商品を買っている場合は、意味のある分散になっています。
それは資産クラスごとに値動きが異なるためです。
各資産クラスの値動きは、以下のインデックスのデータでみてみます。
- MSCI KOKUSAI:先進国株式のインデックス
- MSCI Emerging:新興国株式のインデックス
参考データ:MSCI公式
下のグラフは、1987年12月31日から2017年12月29日までの値動きです。
その他、別々に購入して意味のある資産クラスの組み合わせは次のとおりです。
- 「先進国株式」+「新興国株式」
- 「先進国株式」+「新興国株式」+「日本株式」
- 「先進国株式」+「日本株式」
- 「新興国株式」+「日本株式」
内部の投資先に重複がない
逆に内部で投資先が重複して、分散効果が薄れてしまう組み合わせは以下のようなものがあります。
- 「全世界株式」+「先進国株式」
全世界株式の中に先進国株式が含まれている - 「全世界株式」+「新興国株式」
全世界株式の中に新興国株式が含まれている - 「全世界株式」+「日本株式」
全世界株式の中に日本株式が含まれている - 「先進国株式」+「米国株式」
先進国株式の中に米国株式が含まれている
「いまいち資産クラスの分類がよくわからないよ!」という方は、繰り返しになりますが「アセットクラスとは?投資の成否の8割を握る資産配分を理解する」で詳しく紹介しているのでぜひ一度読み込んでみてください。
初心者の方は複数銘柄いらない。全世界株式を1本買えばいい
「銘柄はいくつ買えばいいの?」という疑問への回答は「初心者の方は全世界株式を1本買えばOK」となります。
「全世界株式」のファンドは、その名のとおり全世界の株式へ投資ができるので、1本でも分散具合としても申し分ありません。
買う商品は、以下の3本のうちのいずれか1つを買うと無難です。大きく道を踏み外すことはありません。
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)
中級者の方は先進国株式や新興国株式を自分の好きな配分で組み合わせるといい
ちなみに僕のつみたてNISAは、以下の2本を積み立てています。
- eMAXIS Slim先進国株式
- eMAXIS Slim新興国株式
僕の運用実績の詳細は「【2020年5月】つみたてNISA(積立NISA)の運用成績をブログで公開!+8,211円!【楽天証券】」で紹介しているので興味のある方はぜひ御覧ください。
補足:同じ資産クラスの商品を買ってしまっても問題はない。無駄に売却するほうが悪影響大きいので注意しよう
同じ資産クラスの商品を持っていたとしても分散効果がないだけで、保有することにデメリットはありません。
むしろ、いたずらに売却してしまうとせっかくのつみたてNISAの非課税枠が消滅してしまうことになります。
今後20年間に渡り利益が非課税になる権利を失うことは下手をすると20万円近い金額を失うことと匹敵するので、勢いで売却しないよう気をつけてください!
まとめ:つみたてNISAはポイント還元がお得な楽天証券で始めよう
初心者の方は、資産クラスが「全世界株式」の商品を1本買っておけば、大失敗することはありません。
資産運用の学習が進み、さらにコストを抑えた運用がしたくなったら、資産クラスが重複しない別々の商品を組み合わせていくと良いと思います。
ただ全世界株式の商品「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は十分に低コストなので、無理に複数本を組み合わせる必要はありません。
あくまで趣味でこだわりたい人向けの話と思ってもらってだいじょうぶです。
なお、つみたてNISAを始めるなら「楽天カード払いで積立をすると1%ポイント還元」がある楽天証券が、他社と比べて相対的にお得です。
1%コストを安くできると、長期の資産運用で有利に働きます。少しでもリターンを増やしたいので、僕もSBI証券から楽天証券のつみたてNISAへ移管をしました。
口座開設は少し面倒に感じるかもしれませんが、ノーリスクでリターンが増やせるので単純にやらないともったいないです。
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楽天証券と他証券会社の比較は、こちらの記事をご覧ください。
初めまして、今年からつみたてNISAとiDeCoを始めようとしている投資初心者です。分かりやすい説明でとても勉強になります。
質問なのですが、つみたてNISAで全世界株式(日本含む)の商品を買い、iDeCoで先進国株式+新興国株式の商品を買う、という場合、分散効果はあるのでしょうか。iDeCoやつみたてNISAを行う場合、全体の配分も考える…という記事を読み、どうしたら良いのか分からなくなってしまいました。よろしければ教えてください。
投資初心者さん、コメントありがとうございます。
>つみたてNISAで全世界株式(日本含む)の商品を買い、iDeCoで先進国株式+新興国株式の商品を買う
上記の場合、分散効果はさほどありませんが、つみたてNISAとiDeCoを両方活用することには意味があります。
つみたてNISAとiDeCoを両方活用する場合「すべてを合計した全体でどのような資産配分になっているか」が大切になってきます。
「全世界株式」の商品は、内部で次のような配分で各資産クラスを持っています。
日本:10%
新興国:10%
先進国:80%
投資初心者の方であれば「つみたてNISA+iDeCoの口座全体」で上記の配分になると
最も無難なバランスになるので良いと思います。
つみたてNISAで「全世界株式(日本含む)」を保有する場合、
iDeCo口座では次のような配分で保有すればOKです。
・新興国:11%
・先進国:89%
また、マネックス証券のiDeCoに「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」が追加されたので
「全世界株式」の構成を再現する場合はこれ1本でOKなのでもっと楽にできそうです。
もし、わからない部分があればまたコメントください!
よろしくおねがいします。
シータさん、返信ありがとうございます。マネックス証券のiDeCo商品にも全世界株式が出たんですね。色々調べる内に、資産配分が難しいなと思い中々購入までに至りませんでした。
すみません、また質問させて頂きたいのですが、つみたてNISAとiDeCoの両方で全世界株式(日本含む)商品を買えば、自分で配分を考えずに無難に投資できると考えて良いのでしょうか。まずはこれを買い、後々分かってきたら自分で資産配分を考えて投資してみようかな、と思うのですが…
何度も申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
はい、おっしゃるとおり、つみたてNISAとiDeCoの両方で全世界株式(日本含む)を買えば、ファンド側で配分調整が自動でされるため、資産配分のことを考えずに完全放置の運用でOKになります。
まずはこれを買い、並行して学習を進めていくやり方は僕も大賛成です!
ぜひ取り組んでみてください!
シータさん、丁寧にお答え頂きありがとうございます。まずはこの方法で試して、学習していこうと思います。
ありがとうございました!
初めまして、べっくすと申します。
分かりやすい説明でとても勉強になりました。
昨年から積立NISAを開始しましたが、まさにこのブログに記載のある通り
おすすめから適当に下記の3つを買付けてしまい、すべて米国というまったく意味のない銘柄の分散をしております。
「楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))」
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
「iFree S&P500インデックス」
ブログ内容を参考に今後の運用を変更していこうと思うのですが、
どのように変更すべきか悩んでおり、質問させてください。
今後は「被っている銘柄の買付を完全停止し、買い付けた分は保持し続ける」もしくは
「被っている銘柄の買付金額を減らし、意味のある分散投資を新規で買い付ける」
のいずれかだと思うのですが、イマイチどの方法がいいのかがわからず、
どのように分散投資化を進めればいいかアドバイスをいただけると幸いです。
べっくすさん、コメントありがとうございます。
「同じS&P500に連動する投資信託を3つ持ってしまった」というパターンですね。
この場合は、以下が良いかと思います。
・保有中の銘柄はそのまま保有しつづける
・今後の買付銘柄をひとつに絞る
例えば、買付銘柄を「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に絞る場合、
保有中の銘柄のうち、以下の2つを新規買付停止。保有し続ける
・楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))
・iFree S&P500インデックス
毎月の積立は以下
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
という具合になります!
わからないところがあればまたコメントください!
よろしくお願いします。
シータ様
ご丁寧にご説明いただきありがとうございます!
運用に関して、アドバイスいただいたよう変更を進められればと思います。
このブログに出会わなければ、
まったく意味のない分散に気づくことすらできなかったので、
とても感謝しております。
これからもブログやTwitterにて勉強させてください。
コメントのご返信誠にありがとうございました。
シータさん
初めまして、オージーと申します。
シーターさんのブログを拝見し、つみたてNISA始めました。
eMAXIS Slimの国内株式(TOPIX):先進国株式インデックス:新興国株式インデックスを
10:80:10の比率で申し込みました。
今後iDeCoの方も利用しようと考えております。
その場合iDeCoではどの様な投資信託を選べばよいとおもいますか?
アドバイス等いただければと思いコメントさせていただきました。
オージーさん、コメントありがとうございます。
早速つみたてNISAを始められたということでおめでとうございます!
国内:先進国:新興国=10:80:10の構成は最も無難で素晴らしいと思います。
まだ投資をはじめたばかりということであれば、
iDeCoの方でも同様に全世界の株式へ投資するのが無難で良いと思います。
1本完結で積み立てをしたい場合は、
・マネックス証券:eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)
・SBI証券:eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)
2本、3本での積み立ても許容なら、つみたてNISA同様に以下の組み合わせが良いと思います。
>eMAXIS Slimの国内株式(TOPIX):先進国株式インデックス:新興国株式インデックスを
>10:80:10の比率で申し込みました。
好みに応じて、国内株式を除外したりするのもアリと思います!
シーターさん
早々にアドバイスありがとうございます。iDeCoの方でも全世界の株式へ投資していこうと思います。
今後もシーターさんのブログ、Youtubu、Twitter等で投資について学ばせていただきます。
ありがとうございました。
シーターさん
早々にアドバイスいただきありがとうございます。
iDeCoの方でも全世界の株式へ投資していこうと思います。
今後もシーターさんのブログ,YouTube,Twitter等拝見させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
シーターさん初めまして。
今年から積立NISA始めてみたのですが、
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
各5000円ずつ、毎月積み立てているのですが、米国式が被ってしまっていることに気づきました。別のものに変えた方がよいでしょうか?
また、月額積立てよりその分を日割りにして毎日微額ずつの積立てをした方がよいのでしょうか…?
おかちさん、コメントありがとうございます。
たしかに米国株式が被ってしまっていますね。
その状態だと
・米国株式 :10000円
・全世界株式:5000円
という配分になっているので、
おそらく意図しているより
米国株式によってしまっているのではと思います。
「米国と全世界半分ずつにしたい」ということであれば
・米国株式:7500円(どちらか好きな方。僕はeMAXIS Slim派です)
・全世界株式:7500円(eMAXIS Slim全世界株式)
とすると良いと思います。
積立の頻度については、毎月と毎日どちらでやっても
パフォーマンスに差は生まれないと
思ってもらってだいじょうぶです。
ただ、楽天証券であれば楽天カード払いで1%ポイント還元があるので
ぜひ活用するとお得です。
(楽天カード払いにすると「毎月」しか指定できなくなりますが問題ありません)
よろしくお願いします!
シーターさん
返信ありがとうございます☺️
米国式2:全世界式1
より
米国式1:全世界式1
の方がよいでしょうか?
また、いまコロナの影響で値下がりしているようなのですが、買い増しなどした方がよいでしょうか?
素人考え丸出しですみません、教えて下さると嬉しく思います…
シーターさん
追記です
オールカントリーを積立てたので、今は2:1になっています。米国式、全世界式のみでいいか、そこに先進国式や日本を追加した方がいいかで迷走しております
おかちさん
>いまコロナの影響で値下がりしているようなのですが、買い増しなどした方がよいでしょうか?
まずこちらですが、値下がり時もいつもどおり定額で積み立てるだけでOKです。
理由は、買い増したとしても今が底であるとも限らず、さらに暴落を続ける可能性もあり、
そのタイミングを見極めるのは素人はおろか、プロでさえも難しいからです。
欲を出さず、無難な結果を求める方が最終的にうまくいくと思います!
また、積み立てる商品についてですが、もしまだ何をどの配分で保有するか決めきれていない場合、
積み立てる商品はeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)1本にするのをおすすめします。
理由は全世界株式が最も無難だからです。
米国株式のようにとがったリターンはありませんが、逆に大失敗することもありません。
初心者の方に1番おすすめできる配分です。
このとき、今保有している米国株式の商品を売却する必要はありません。
保有したまま、今後積み立てる商品を全世界株式にしてみてください!