こんにちは、税務署・法務局に相談に行きまくっているシータ(@tsumitate_theta)です。
今年は法人の解散登記、法人の引っ越し登記で税務署・法務局に既に数回相談にいっています。
税務署や法務局は、無料で相談を受け付けてくれる上、丁寧に回答してくれるため、困ったときに信頼できる公式の情報先としてとても重宝しています。
下手に費用を払って業者にお願いするよりも安く、現実的な回答を得られるケースが多いです。
米国株の為替関連についてはネット上でも様々な意見があり、どれが正解かわからなかったため、税務署で直接相談してきました。
米国株の為替まわりを税務署で相談しできました
・SBIのFXでドル転・現引:FXと同じ雑所得の申告分離課税で申告
・SBIネット銀行でドル転:円転するまで確定申告しなくてOK。さらに複数回に渡りドル転した場合(積立など)為替損益認識しなくてOK
・株売却・配当金:為替差益認識しなくてOK割と衝撃😳
— シータ@ブログ攻略中Lv26 (@tsumitate_theta) November 19, 2019
相談結果をTwitterでつぶやいたところ、多くの反響をいただいたので、改めて記事でご紹介することにしました。
140文字では誤解を生む部分もあったかと思うので、できるだけ詳細にまとめました。ぜひ最後までご覧ください。
目次
今回相談した僕の過去の取引実績:為替取引・米国株売買・配当金の流れ
前提条件によって、税務署の回答結果が変わる可能性もあるため、今回僕が相談してきたときに話のベースとした取引の流れを簡単にご紹介します。
- SBI FXで円をドルに交換→現引してSBI証券にドルを振替
- 住信SBIネット銀行で円をドルに交換→SBI証券に振替
- ドルで米国株を購入(外貨決済)
- 米国株の配当をドルで受け取る
- 米国株をドルで売却(外貨決済)
- SBI証券のドルをSBIネット銀行に移して、円に戻す
僕の今年の米国株関連の売買は上記のとおりです。
この流れの中で特に僕がよくわからなかったのが、以下の点です。
- 米国株を購入→売却する際に為替差益を認識する必要はあるか
- 円をドルに変えた後、しばらく経ってから米国株を買った場合、ドル転時から為替レートに変動があるけどその為替差は損益として認識する必要があるのか
- 米国株からドルで配当を受けとり、しばらく寝かせてから米国株を購入した場合、その間の為替差益を認識する必要はあるか
- 為替差益の申告をすべきタイミングはいつなのか?
これらの点について僕の売買、配当金、ドル転履歴資料を持参した上で、直接対面で相談をしてきました。
米国株の為替まわりの税金について税務署で相談してわかったこと
- 米国株取引での株売却・配当金受取は、証券会社の特定口座内で為替差益を含んだ金額を源泉徴収してくれるので、別途確定申告をする必要はなし
- 待機資金での米株購入、配当金での米株購入は為替差益を認識しなくてOK
- SBI FXで円をドルへ交換、ドルを円へ交換した場合、FXの確定申告ルールに従う(株式・投資信託とは異なり、先物グループにあたる雑所得の申告分離課税)
- SBIネット銀行で円をドルへ、ドルを円へ交換したものは「外貨定期預金」以外は為替損益を認識しなくてOK
- 「外貨定期預金」の場合は為替差益を認識して確定申告する(利益が20万円を超える場合)
米ドルで米国株を購入→売却した場合、為替の影響は譲渡所得に含まれるため、別途為替差益を認識する必要はない
「米ドルで米国株を購入→売却」というのは、いわゆる「外貨決済で米国株の売買をした」というケースです。
具体的には次のような場合です。
- 証券口座にある米ドルで米国株を購入
- 米国株を売却し、米ドルで現金を受け取り
特定口座(源泉徴収あり)で上記のような取引をすると、証券会社側で「譲渡所得」を計算し、源泉徴収してくれます。
具体的には以下のような取引証明書が発行されるはずです。
上記のとおり、為替レートを加味して円評価されているため、譲渡所得の中に「為替損益」は含まれていることになります。
なので、米国株の購入→売却のタイミングでは特定口座にまかせておけば為替損益分を別途申告する必要はない、ということです。
確定申告をする場合は、証券会社が発行する「年間取引報告書」をもとに必要情報を入力するだけでOKです。別で為替差益を申告する必要はありません。
円をドルに変えた後、しばらく経ってから米国株を買った場合、ドル転時から為替レートに変動があるけどその為替差は損益として認識する必要があるのか
以下は僕の2019年為替取引と米株購入の一部を書き出したものです。
- 2019年5月20日:為替レート1ドル110.027円で10000ドルを購入(SBI FX)
- 2019年5月20日:為替レート1ドル110.10円で2724.79ドルを購入(住信SBIネット銀行)
- 2019年5月21日:為替レート1ドル111.17円で米国株を購入
- 2019年5月27日:為替レート1ドル109.44円で1370.61ドルを購入(住信SBIネット銀行)
- 2019年6月26日:為替レート1ドル107.24円で1398.73ドルを購入(住信SBIネット銀行)
- 2019年7月11日:為替レート1ドル108.079円で10000ドルを購入(SBI FX)
こんな形で円をドルに変え、ドルで米国株を購入していたのですが、「円をドルに変えたときのレートと米国株を購入したときのレートの為替差益は認識しなくてもいいですよ」との回答でした。
と聞いたところ「為替差益は米国株の購入→売却のところで譲渡所得側で計算されるので、それ意外のところでは特に何もしなくて問題ありません」とのこと。
米国株から米ドルで配当金を受け取り、後にそのお金で米国株を購入した場合、為替差益を認識する必要はあるの?【何もしなくてOK】
SBI FXで円をドルに変えて、SBI証券口座の中に持ち込み米国株を買った。この場合、どういった処理をする必要がある?【FXでのやりとりはFX会社が発行する証明証に従うこと】
ちなみにSBI FXでは以下のような取引報告書が毎月発行されているので、SBI FXでドル転した人は見てみるとよいかもしれません。
住信SBIネット銀行で円をドルに変えて、SBI証券口座に持ち込み米国株を買った。この場合、何か処理することはある? 【何もしなくてOK】
為替差益の申告をしなければならないのはいつ?【外貨の定期預金など】
税務署で相談してわかったことのまとめ
改めてわかったことをまとめます。
- 米国株取引での株売却・配当金受取は、証券会社の特定口座内で為替差益を含んだ金額を源泉徴収してくれるので、別途確定申告をする必要はなし
- 待機資金での米株購入、配当金での米株購入は為替差益を認識しなくてOK
- SBI FXで円をドルへ交換、ドルを円へ交換した場合、FXの確定申告ルールに従う(株式・投資信託とは異なり、先物グループにあたる雑所得の申告分離課税)
- SBIネット銀行で円をドルへ、ドルを円へ交換したものは「外貨定期預金」以外は為替損益を認識しなくてOK
- 「外貨定期預金」の場合は為替差益を認識して確定申告する(利益が20万円を超える場合)
個人的には予想していた回答の中でも最も投資家にとって楽な答えがもらえてほっとしました。
株売却時や配当金の為替レートをごにょごにょ計算しなければならなかったら無理ゲーだなと思っていたので、一安心です。
【注意】今回の話はあくまで1つの事例として捉えてください
Twitterでいただいた反応では「為替差益はちゃんと計算しないといけない」「自分が聞いた税務署で確認したときは計算してくれということだった」といった声もありました。
たぶんですけど税務署員によって回答は違うと思います(本当はダメなんだけど)
私が確認したところだと2番目は早めにしてくれたら為替は気にしなくても良いという回答でした(早めっていうのも微妙)
他方銀行でも聞いてみたら平均取得レートを計算しないといけないと回答
結局やる時に要確認かな— クロスパール@ローコストで豊かな生活 (@crosspearl01) November 19, 2019
なので、税務署の担当の方によっても回答は分かれるのかなと思います。
ネット上でも複数の意見があり、税務署の担当でも異なる声があると何を「正」とすれば良いのかわからなくなってしまいそうですが、1番信じるべきは「最寄り税務署回答」と思います。
実際、確定申告をする際には最寄り税務署に相談して判断を仰ぐことになります。
僕は今回の税務相談で相談記録を実名で残してきているので、今後は税務署の指導どおりに今回の回答ベースの確定申告をするつもりです。(もちろん、税務署から修正してくださいと話が来たら対応します)
ただし、あなたがこの記事をベースに「ネット上の記事をもとに確定申告をしました」と税務署に伝えたとしても、もしかすると話が通らない可能性もあります。
今回の僕の話はあくまで一例として捉え、不安な方は各自で税務署で裏を取るのが安全かと思います。
まとめ:確定申告で迷ったら税務署で直接相談してみよう【電話相談でもOK】
割と税務署や法務局などお役所まわりのルールは、厳密ではなくグレーゾーンがあることが多いです。
以前、法人の解散登記をするために税務署や法務局を巡ったときも、直接相談してみて初めてわかった発見も多くあり、大幅に費用を安くすることができました。
もしかすると「人によって税務署の回答が違うのは不公平だ」と思われる方もいるかもしれませんが、個人的には「こんな些末な部分に税金を投入して税務署の回答レベルを上げてほしい」などとは全く思いません。
ただでさえ社会保障費が増大し税収が不足していく未来しかないので、もっと有効な施策に税金を使ってほしいと思ってます。
なので個人投資家としては「カオスで不平等な現実」を受け入れて自分で活路を見出すのが良いと思います(ケースバイケースの税金で平等な対応というのもありえないとも思ってます)
「うーん、結局為替差益どうすればいいかわからないな」という方は、面倒かもしれませんがぜひ一度直接税務署で相談してみることをおすすめします。
自分で動いて前進しよう!
はじめまして。この度は有益な情報ありがとうございました。為替差益について色々なブロガーの方が記事を書いてくださっているので、自分も確定申告の際は面倒な計算を覚悟していました。今回、幸運にもシータさまの記事を拝読する機会を得て、税務署を訪ねる勇気をいただきました。結果は、ほぼシータさまが記事に書いていたとおりでした。ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
太田さんも直接税務署に相談されたのですね!
僕と同じような回答をもらえたようでほっとしています。
他にも同様の回答をもらえたよ!という声をいくつもいただいているので、
実際の運用は今回の記事のようになっているんだと思われます。
いずれにせよ、困ったときはネットの声を鵜呑みにせず、
直接公的機関に確認を取るのが間違いないなと実感しますね。
今後ともよろしくお願いします!
厳密にはすべての取引間での為替差益に税金をかけるのが正しいんでしょうけど、現実問題実務として不可能って事なんでしょうね。
とりあえずは特定口座で証券会社から出してもらえる書類で申請しておけば少なくとも大きな問題はなさそうですね。
ぼるしちさん、コメントありがとうございます。
そうですね。実務上、一般人に細かい計算をさせるのは不可能に近いってことなんだと思います。
本当に必要なものだったら、証券会社や銀行側で書類を作ってもらわないと難しそうですよね
でも回収できる税金額と比べて、各社がシステムを作るコストやそれを斡旋するコストが割にあわそうなので
なし崩し的に今の形になっているのかなぁとも思います。