こんにちは、シータ(@tsumitate_theta)です。
退職金と確定拠出年金は両方もらえるのは嬉しいことですが、受け取り方を間違えると税金で50万から100万以上も損をしてしまう可能性があります。
この記事では、そんな失敗をしないために退職金と確定拠出年金が両方もらえる時のベストな受け取り方をご紹介します。
- 退職金と確定拠出年金、両方がもらえるときのベストな受け取り方が分かる
- 確定拠出年金の一括受け取りの時の税金の求め方が分かる
- 複数の退職金を受け取る時の注意事項が分かる
なお、本当にiDeCoを始めるべきか?、運用商品の選び方、失敗しない受け取り方など、確定拠出年金の網羅的な情報は↓にまとめているのでぜひご覧ください。
目次
確定拠出年金と退職金は両方もらえる?
会社によって確定拠出年金のみ、退職金のみ、両方あるよというように導入している制度に違いがあります。
確定拠出年金と退職金が別々にある場合は、もちろん両方のお金を受け取れます。
または、勤務先に退職金があり、個人でiDeCoに加入している人も、iDeCoと退職金の両方を受け取れます。
- 勤務先に退職金と企業型確定拠出年金の両方がある人
- 勤務先に退職金があり、自分で個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している人
中にはもともとあった退職金制度を確定拠出年金に移行して退職金がなくなった会社もあるので、詳しくは勤務先に問い合わせてみるのが間違いないです。
確定拠出年金と退職金が両方ある場合はどう受け取るのいい?
確定拠出年金と退職金、両方を受け取るときに注意すべき大事なルールがあります。
- 確定拠出年金と退職金を同年に受け取ると、税金が増える
- 確定拠出年金は、過去14年以内に他の退職金受け取りがある場合、税金が増える
- 退職金は、過去4年以内に他の退職金受け取りがある場合、税金が増える
その前に確定拠出年金を一括で受け取る時の税金について
確定拠出年金は「一括」で受け取るか、分割した「年金」で受け取るかを選べますが、多くの場合一括受け取りの方が節税できるので、ここでは一括の場合を考えていきます。
確定拠出年金を一括で受け取ると、税制上は「退職金」と同じような扱いになり、他のどんな所得よりも払う税金が少なくなります。
退職所得は「分離課税」で他の所得がいくらあろうと合算されず、勤続年数に応じて支払う税金が減る「退職所得控除」があるなど、お得な点が盛りだくさんです。
- 拠出期間が20年間まで:
年数 x 40万円 - 拠出期間が20年を超えたら:
800万円 + 年数 x70万円
例えば、20年であれば800万円が非課税に、30年であれば1500万円が非課税になります。
さらに退職金所得控除後の金額の半分が課税対象となります。
- (退職金 – 退職金所得控除) ÷ 2 = 退職金課税所得
- 退職金課税所得 x 所得税率 – 控除額 = 所得税額
参考:退職金と税|国税庁
- 退職金所得控除:1500万=800万+70万x(30年-20年)
- 退職金課税所得:500万=(2500万-1500万)÷2
- 所得税額:57.25万=500万x20%-42.75万
上記の例では、30年勤務した人が2500万円の退職金を受け取る時、発生する税金は57万円です。
2500万円受け取りに対して57万円なので、割合にすると2.3%です。
通常の所得税率20%がもしかかっていたとしたら、500万円税金を払うことになります。
これが、確定拠出年金を一括で受け取る時の税金です。
確定拠出年金と退職金を同年に受け取ると、税金が増える
確定拠出年金と退職金を同年に受け取ると、退職金は2つの収入の合計になり、退職所得控除はどちらか長い方の勤務(拠出)年数に統合されてしまいます。
- 退職金収入金額:確定拠出年金の一時金と退職金の合計
- 勤続年数:確定拠出年金の拠出年数と会社の金属年数、どちらか長い方を採用
参考:No.2735 同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき|国税庁
別々の退職所得控除がもらえることを期待してしまいますが、同じ年にもらうとそれができないので要注意です。
例えば、先ほどの国税庁の例を引き継いで、会社を30歳から60歳まで勤務して退職金を2500万円、確定拠出年金を35歳から60歳まで拠出して1300万円を同年に受け取るケースを考えてみます。
- 退職金収入:3800万円
= 2500万円+1300万円 - 退職所得控除の継続年数:30年
勤続30年>拠出25年なので30年を採用 - 退職所得控除:1500万
= 800万円+70万x10年 - 退職金課税所得:1150万円
= (3800万円-1500万円) ÷ 2 - 税金:225万円
1150万x33%-1,536,000円
この場合、退職金の税金は225万円にもなってしまいます。
もし、それぞれで退職金所得控除がもらえれば、合計で61万円で済むので同年受け取りをしてしまうととても損をしてしまうのが分かると思います。
確定拠出年金は、過去14年以内に他の退職金受け取りがある場合、税金が増える
確定拠出年金は、過去14年以内に他の退職金受け取りがある場合、退職所得控除が減ってしまいます。
なので、確定拠出年金を60歳で受けとるとき、46歳以降で会社からの退職金をもらっていると、退職所得控除が減ってしまいます。
減る退職所得控除の額は、重複している年数で決まります。
- 5年重複:40万x5年=200万
- 10年重複:40万x10年=400万
- 14年重複:40万x14年=560万
計算式は退職所得控除のものと同じ
なので、確定拠出年金をもらってから退職金をもらうのがいい流れです。
退職金は、過去4年以内に他の退職金受け取りがある場合、税金が増える
確定拠出年金では過去14年以内に他の退職金をもらっているとNGでしたが、退職金を受け取るときは過去4年以内にもらっていなければOKになります。
例えば、会社の退職金を65歳で受け取るとき、60歳で確定拠出年金の一括受け取りをすれば、退職所得控除を両方ともMAXでもらうことができます。
これを見ると、やはり確定拠出年金は退職金よりも早くもらっておくのが良い、というのが答えになってきます。
退職金と確定拠出年金、両方もらえるときのベストな受け取り方
確定拠出年金と退職金が両方ある場合、60歳で確定拠出年金をもらい、65歳で退職金を受け取るともっともお得
先ほど見えた結論の繰り返しになりますが、「確定拠出年金と退職金が両方ある場合、60歳で確定拠出年金を受け取り、65歳で退職金を受け取るともっともお得」になります。
このケースに当てはまるような65歳で退職金がもらえるケースの人は、最高ですね。
60歳で確定拠出年金2500万、65歳で退職金2500万もらっても税金が100万ちょいで収まってしまうケースも十分起こり得ます。
退職金が60歳からずらせない場合、確定拠出年金は1年でもずらすとお得
ただ、必ずしもみんなが65歳で退職金をもらえるわけではありません。
厚生労働省の調査によると、65歳以上を定年制として採用しているのは17.8%、60歳は79.3%です。
もし60歳退職金がずらせないケースで考えると、1年でも良いので確定拠出年金を後ろにずらすのが良いです。
これだけでも結構税金が変わってきます。
例えば、先ほどの国税庁の例を引き継いで、会社を30歳から60歳まで勤務して退職金を2500万円、確定拠出年金を35歳から60歳まで拠出し、1年寝かせて61歳で1300万円を受け取るケースを考えてみます。
会社からの退職金は、以下のとおりなので税金が57万円です。(復興税抜き)
確定拠出年金は、60歳以降は掛け金の拠出が出来ず、退職所得控除の継続年数にカウントされません。
なので、61歳まで受け取りを伸ばしたとしても退職所得控除は0で同年受け取りの時と変わらないのですが、課税所得を1/2にできる効果を得られます。
- 退職金収入:1300万円
- 退職所得控除の継続年数:0年
全期間が会社の勤務期間と重複しているため - 退職所得控除:0万
- 退職金課税所得:650万円
= (1300万円-0万円) ÷ 2 - 税金:87万円
650万x20%-427,500円
税金は87万円となりました。
退職金の税金57万円と足すと、144万円です。
同年受け取りのときは225万円の税金だったので、33%オフになっています。
1年でもずらして受け取るのが良いと思います。
まとめ:iDeCoはマネックス証券(中級者向け)かSBI証券(初心者向け)で始めよう
退職金と確定拠出年金が両方もらえる場合のベストな受け取り方をご紹介しました。
大事なルールをおさらいします。
- 確定拠出年金と退職金を同年に受け取ると、税金が増える
- 確定拠出年金は、過去14年以内に他の退職金受け取りがある場合、税金が増える
- 退職金は、過去4年以内に他の退職金受け取りがある場合、税金が増える
なので、60歳に確定拠出年金を、65歳に退職金を受け取る流れがベストです。
退職金は60歳に受け取ることが避けられない場合は、61以降に確定拠出年金をもらうようにするとベターです。
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