こんにちは、サラリーマン社長のシータ(@tsumitate_theta)です。
なんだか難しそうに感じる「法人の本店移転登記」ですが、法務局の登記相談を利用して、書類の隅から隅まで口頭で確認してなんとか自力でやりきることができました。
ネットでもなかなか情報が見つからず困った経緯があるので、すべての書類の書き方を画像付きではっきりと記録に残しておきます。
この記事を最後まで読みこめば、初心者のあなたでもきっと自力で法人の本店移転ができるはずです。
目次
本店移転登記は管轄内と管轄外の2種類ある
- 管轄内:移転前後で管轄の法務局が変わらない
- 管轄外:移転前後で管轄の法務局が変わる
上記の「管轄内」か「管轄外」かで、必要な登記申請や費用が変わってきます。
必要な 登記申請 | 管轄内移転 | 管轄外移転 |
---|---|---|
旧管轄への 登記申請 | 必要 30000円 | 必要 30000円 |
新管轄への 登記申請 | 不要 | 必要 30000円 |
合計 | 30000円 | 60000円 |
管轄外の本店移転の場合は、旧管轄と新管轄の両方に登記申請をする必要があるため、費用(登録免許税)は2倍の60000円になってしまいます。
今回、僕が本店移転をした法人は、「管轄外」の移転のため、2箇所への登記申請が必要でした。
「法人がどこの管轄なのか」は、以下の法務局のページで調べることができます。
CHECK! 管轄のご案内:法務局
本店移転登記と同時に代表者住所変更をやろう
法人の「本店所在地」は割と自由に登記できます。「バーチャルオフィス」や「レンタルオフィス」などを登記している人もいますが、一人会社ならやっぱり「自宅」を本店所在地にしている人が多いのではないでしょうか。
「自宅」を「本店所在地」としている場合、引っ越しの際に「法人の本店移転登記」に加えて「代表者住所変更登記」も必要です。
なので「本店移転登記」と同時に「代表者住所変更登記」も済ませてしまうと楽です。忘れてしまい別途手続きとなると面倒なので、同時にやってしまいましょう。
「代表者住所変更登記」は10000円の費用(登録免許税)がかかるので、合計すると次のようになります。
必要な登記 | 管轄内移転 | 管轄外移転 |
---|---|---|
旧管轄への 登記申請 | 30000円 | 30000円 |
新管轄への 登記申請 | - | 30000円 |
代表者の 住所変更登記 | 10000円 | 10000円 |
合計 | 40000円 | 70000円 |
強く生きるんだサブレくん!
この記事では、本店移転(管轄外)の場合の書類の書き方について紹介していきます。
合同会社の本店移転登記(管轄外)に必要な書類
今回は「本店移転登記(管轄外)」と同時に「代表者住所変更登記」もやってきました。
必要になる登記申請は次の3つです。
- 合同会社変更登記申請書
代表者の住所変更がこれ - 本店移転登記申請書(旧管轄向け)
- 本店移転登記申請書(新管轄向け)
参考:法務局のQ&A「会社の本店を移転するには,どこに登記申請をすればよいのですか?」
登記が処理される順番に注意
法務局で書き方を相談したところ、3つの登記申請は「連件」という形で処理されるので、書類の内容も順番に沿うものにする必要があると教えてもらいました。
今回の3つの申請の順番は次のように登記手続きが進みます。
- 旧法務局:代表者の住所変更
- 旧法務局:本店移転登記
- 新法務局:本店移転登記
最初に「代表者の住所変更」から始まり「旧法務局への本店移転登記」、最後に「新法務局への本店移転登記」という流れになります。
例えば、「旧法務局への本店移転登記」の書類では、「代表者住所は変更済み」として書くことになります。
合同会社の代表者住所変更(変更登記申請書)の書き方
代表者の住所変更登記に必要な書類は3つです。
- 合同会社登記変更申請書
- 登記すべき事項
- 収入印紙貼付け台紙
合同会社登記変更申請書
合同会社の代表社員住所変更は、法務局サイトにどんぴしゃのサンプルがありません。代わりに株式会社の代表住所変更登記はサンプルがあります。
なので、上記サンプルと合同会社変更登記申請書のサンプルを組み合わせて書類をつくります。
申請書は以下の法務局サイトからダウンロードして作成すると簡単です。
僕が実際に提出した書類はこちらです。
記入する内容は次のとおりです。
- 会社法人等番号:登記簿に載っている法人番号を書く
- 商号(フリガナ):法人名をカタカナで書く
- 商号:法人名を書く
- 本店:引っ越し前の旧住所を書く(登記簿に載っている住所)
- 登記すべき事由:「代表社員の住所変更」と書く
- 登記すべき事項:「別紙のとおり」と書く
- 登録免許税:「10,000円」と書く
- 捨印:空いてるスペースに法人印で捨印を押す
- 申請日:登記申請をする日を書く
- 法人所在地:引っ越し前の旧住所を書く
- 法人名:法人名を書く
- 代表社員の住所:引っ越し後の新住所を書く(印鑑証明と同じ住所)
- 代表社員の氏名:自分の名前
- 法人印:法人の代表印を押す
- 連絡先の電話番号:個人の携帯電話でOK
- 宛先:引っ越し前の旧管轄法務局を書く
申請人のところは以下の情報を書く
ここでの最大のポイントは「法人の住所は引っ越し前の旧住所にする」「代表社員の住所は引っ越し後の新住所にする」です。
また、「代表社員の住所変更登記」は引っ越し前住所の旧管轄法務局で処理されます。法務局の宛先も旧管轄(引っ越し前)の法務局を書いておきましょう。
空きスペースに「1/3」と書くと、担当の方が連件と分かり親切らしい
法務局で書き方を相談したところ、「空きスペースに1/3と書いておいてもらっていいですか?担当が処理しやすくなるので」と言われました。
「代表者の住所変更」「本店移転(旧管轄)」「本店移転(新管轄)」の3つの登記申請を同時に提出するので、下手をすると順番を間違えたり、漏れが生じたりする可能性もあります。
とはいえ、法務局ごとにやり方に違いもあると思うので、実際に本店移転登記をする際には法務局で確認をとった上で記載することをおすすめします。
住所変更登記の「登記すべき事項」
「登記すべき事項」も法務局の株式会社向けの住所変更サンプルをベースに、合同会社の内容へ少し変更します。
変更したものがこちらです。
「役員に関する事項」
「資格」代表社員
「住所」○県○市○町○丁目○番○号
「氏名」○○○○
「原因年月日」平成○年○月○日住所移転
「代表取締役」の部分を「代表社員」に変更しています。
実際に僕が提出したものはこちらです。
空きスペースに法人代表印による捨印、割印を押しておきましょう。
どうハンコを押せばいいかわからない方は、法務局へ相談するときにハンコ押す形でもだいじょうぶなので、聞きながらやってみてください。
住所変更登記の「収入印紙貼付台紙」
「収入印紙貼付け台紙」には、住所変更登記に必要な1万円分(登録免許税)の印紙を貼り付けて提出します。
僕が実際に提出したものはこちらです。
こちらも空きスペースに法人印による捨印、割印を押します。
「代表社員の住所変更登記」の書類は、以上で完成です。
合同会社の本店移転登記申請書(旧管轄向け)の書き方
この書類は、引っ越し前(旧管轄)の法務局向けに提出する登記申請です。
必要な書類は次のとおりです。
- 合同会社本店移転登記申請書
- 登記すべき事項
- 収入印紙貼付台紙
この3つが登記申請書類一式です。「代表社員の住所変更登記」も同じでしたが、登記申請にはいつもこの3枚が必要になるので覚えておくと良いかもしれません。
続いて、以下の添付書類も必要になります。
- 総社員の同意書
- 業務執行社員の過半数の一致を証する書面
- 定款
旧管轄向けの「合同会社本店移転登記申請書」
合同会社の本店移転登記(管轄外)は、法務局にバッチリサンプルがあるのでこちらを利用します。
僕が実際に提出した書類はこちらです。
記入内容は次のとおりです。
- 会社法人等番号:登記簿に載っている法人番号を書く
- 商号(フリガナ):法人名をカタカナで書く
- 商号:法人名を書く
- 本店:引っ越し前の旧住所を書く(登記簿に載っている住所)
- 登記すべき事由:「本店移転」と書く
- 登記すべき事項:「別紙のとおり」と書く
- 登録免許税:「30,000円」と書く
- 添付書類:以下のとおりに書く
総社員の同意書 1枚
業務執行社員の過半数の一致を証する書面 1枚
定款 1枚 - 捨印:空いてるスペースに法人印で捨印を押す
- 申請日:登記申請をする日を書く
申請人のところは以下の情報を書く - 法人所在地:引っ越し後の新住所を書く
- 法人名:法人名を書く
- 代表社員の住所:引っ越し後の新住所を書く(印鑑証明と同じ住所)
- 代表社員の氏名:自分の名前
- 法人印:法人の代表印を押す
- 連絡先の電話番号:個人の携帯電話でOK
- 宛先:引っ越し前の旧管轄法務局を書く
前半の「本店」は「引っ越し前の法人住所」を、後半の申請人の部分では「引っ越し後の法人住所」を書くところに気をつけてください。
その他の部分は「代表社員の住所変更登記」とほぼ同じなので、上記内容で書き換えれば特に問題なく完成すると思います。
例によって僕は法務局の方に言われたとおり、空きスペースに連件を示す「2/3」を記載しています。
旧管轄向けの「登記すべき事項」
「登記すべき事項」は法務局の記載例どおりに作ればOKです。
「登記記録に関する事項」平成○年○月○日○県○市○町○丁目○番○号に本店移転
僕が実際に提出したものはこちらです。
空きスペースに法人印による捨印、割印を押しておきましょう。
旧管轄向けの「収入印紙貼付台紙」
収入印紙貼付け台紙は、申請書(PDF)のものを印刷して使えばOKです。
僕が提出したものはこちらです。
本店移転登記の登録免許税は30000円です。法務局の売店で購入して貼付けましょう。
空きスペースに割印を押しておきます。
総社員の同意書
法人を設立するときに「定款」を作成していると思いますが、定款の中に法人の住所が記載されています。
定款への住所は次のパターンのどれかで書かれているはずです。
- 東京都港区
- 東京都港区六本木6丁目11−1
- 東京都港区六本木6丁目11−1六本木ヒルズ森タワーXX階
おそらく①の「XX県○○市」で止めている場合が多いと思いますが、引越し後も同じ県・市であれば、この書類は必要ありません。
定款記載の住所と異なる場所へ引っ越す場合は、定款の変更が必要です。
定款を変更する際にはこの書類「総社員の同意書」を用意します。
僕は東京都から神奈川県へ引っ越しをしたので、この書類は必要でした。
僕が実際に提出した書類はこちらです。
基本的には、記載例の型をベースに、自社の定款内容に合わせて記載すればOKです。
僕の場合は第3条と第5条に住所に関わる記載があったので修正しました。
空きスペースに法人印で捨印、社員の名前の隣に法人印を押しておきます。
業務執行社員の過半数の一致を証する書面
合同会社が本店移転をする場合、過半数の合意が必要で「みんな引っ越しをOKしましたよ」ということを証明するのがこの書類です。
実際には僕一人の会社なので、自作自演のような感じにはなりますが、今の日本のルールでは会社とはそういうものなのであまり気にしなくてOKです。
僕が実際に提出したものはこちらです。
こちらも記載例をベースに住所を当てはめるだけです。
空きスペースに法人印で捨印、社員の名前の隣に法人印を押しておきます。
定款
定款は、もととなる書類は既に手元にあるはずです。
住所に関わる部分を修正して印刷すればOKです。
合同会社の本店移転登記申請書(新管轄向け)の書き方
最後に「本店移転登記申請書(新管轄向け)」です。
さっきまでの登記申請は引っ越し前の旧管轄向けの申請書でしたが、次は引っ越し後の新管轄の法務局向けの登記申請書になります。
この登記申請は、引っ越し後の法務局宛ですが、提出する先は「旧管轄の法務局」でOKです。法務局内でうまく連携して新管轄まで処理をまわしてくれます。
「本店移転登記申請書(新管轄向け)」で必要な書類は次のとおりです。
- 合同会社本店移転登記申請書
- 登記すべき事項
- 収入印紙貼付台紙
新管轄向けのサンプルは、旧管轄向けのものと同じ記載例の後半に載っています。さきほど紹介したものを再掲します。
新管轄向けの「合同会社本店移転登記申請書」
僕が実際に提出した書類はこちらです。
記入内容は次のとおりです。
- 会社法人等番号:登記簿に載っている法人番号を書く
- 商号(フリガナ):法人名をカタカナで書く
- 商号:法人名を書く
- 本店:引っ越し後の新住所を書く
- 登記すべき事由:「本店移転」と書く
- 登記すべき事項:「別紙のとおり」と書く
- 登録免許税:「30,000円」と書く
- 捨印:空いてるスペースに法人印で捨印を押す
- 申請日:登記申請をする日を書く
申請人のところは以下の情報を書く - 法人所在地:引っ越し後の新住所を書く
- 法人名:法人名を書く
- 代表社員の住所:引っ越し後の新住所を書く(印鑑証明と同じ住所)
- 代表社員の氏名:自分の名前
- 法人印:法人の代表印を押す
- 連絡先の電話番号:個人の携帯電話でOK
- 宛先:引っ越し後の新管轄法務局を書く
旧管轄向けのものと違い気をつける部分は「本店」に「引っ越し後の新住所を書く」ことと、最後の宛先法務局を「引っ越し後の新管轄法務局」とすることです。
例によって、連件を示す「3/3」を空きスペースに記載しました。
その他は差異ないので、問題なく作れると思います。
新管轄向けの「登記すべき事項」
「登記すべき事項」も記載例どおりです。
以下のように「引っ越し前の住所」を書きます。
「登記記録に関する事項」平成○年○月○日○県○市○町○丁目○番○号から本店移転
僕が実際に提出した書類はこちらです。
空きスペースに法人印の捨印、割印を押します。
新管轄向けの「収入印紙貼付台紙」
「収入印紙貼付台紙」も簡単です。30000円分の印紙を買って、台紙に貼り付けましょう
僕が提出した書類はこちらです。
空きスペースの法人印(割印)を忘れずに
不安な人は法務局に登記相談の予約を取ってのぞむと完璧です
提出した後に不備があると面倒なので、管轄の法務局に「書きかたがわからないから教えて欲しい」と電話をして登記相談の予約を取ってのぞみました。
法務局ごとに代表電話番号があるのでそこにかければOKです。僕が相談した東京法務局品川出張所はこちらから問い合わせができます。
当日の持ち物は次のとおりです。
- 上記の申請書類一式
- 個人の実印
- 法人印
- 法人登記簿
- 定款
本店移転登記後の流れ
うちの法人で残っているやるべきことは次のとおりです。
- 法務局:移転後の新しい登記簿をもらう
- 法務局:新法務局で印鑑カードをもらう
- 税務署:異動届
- 都税事務所:異動届
税務署への届け出も自分でやってしまおうと思っていたのですが、ちょうど別件で税理士さんにお願いする用事がでてきたので、今回は税理士さんにお願いしちゃいました。
またうちの法人は役員報酬を誰にも払っていないので不要ですが、もし法人から給料をもらっている場合は年金事務所への届け出も必要になると思います。このあたりは忘れないように気をつけてください。
まとめ
一見難しく見える法人の本店移転登記ですが、法務局の人に相談しながら進めれば全く無知の僕でも問題なく登記することができました。
法務局の登記相談の予約を取れば、何なら手ぶらで言っても何とかなるかもしれません。そのぐらい丁寧に教えてくれるので身構えなくて良いと思います。
なので、登記で困った、わからないという方で、コストを安く抑えたい人は行政書士などの業者に相談するのではなく、法務局に相談するのがおすすめです。ぜひトライしてみてください。
また、もしわからないことで僕がお答えできることもあるかもしれないので、お気軽にコメントください!
一人法人の解散登記、休眠会社の確定申告(解散確定申告も同様)はこちらの記事をご覧ください。